ステキなヒント

2023年04月21日2024年04月16日
えがお洋品店

14. お金をかけた方がいいもの、かけなくていいもの

白のシャツにグレーのパンツ姿の女性

 

 

えがお洋品店 ファッションスタイリスト ジョニー・カワサキ

 

 

バジェットを気にせずに買い物をする、なんて夢のような事ができればいいのですが、現実には身の丈にあったお金の使い方と欲しいもののバランスを取らなくてはなりません。

 

2回のプレタをチェックしながら、次は何を着ようかなと思案するのはとても楽しい時間ですが、メゾンの発表する新作のコレクションを全て買っていたら破産してしまいます。

 

 

 

プレタポルテ:フランス語で「既製服」。一般的には、既製服の中でも比較的品質が優れた高価なものを指すため、日本では「高級既製服」と訳すことが多い。高級既製服を展示しているコレクションのことを、”プレタポルテ・コレクション”と言い、パリコレやニューヨークコレクションなど春夏と秋冬の年2回行われる。

 

 

 

 

雑誌やSNSで見た、こういう感じの着こなしがいいな、素敵だなと思うそのエッセンスを感じとり、実際のワードローブにはどのように落とし込んでいくのかを知り、投資すべき服と安価でも楽しめるものを上手に揃えていきましょう。

 

 

 

お金をかけるもの (消耗品)

 

 

 

お金をかけるものが消耗品?と思われるでしょうが、そちらは後に説明しますので、まずは素材の話から。

 

洋服の良し悪しは素材に出ます。写真では分かりにくいですが、実際に見て触れることでしか素材を感じることが出来ないため、ある程度の金額のものはやはり実店舗へ赴き確かめてみることがとても重要です。

 

同じ素材でもクオリティに差がでるものは

 

 

コットン

リネン

ウール

カシミヤ

 

 

まず覚えていて欲しいのが、この4つの素材を使用した洋服は同じものでも雲泥の差があるということです。特にコットンは気をつけるべき素材だと認識しましょう。

 

 

 

コットン

 

 

 

日常で一番着られている素材であるコットンは、様々な種類があるため一概にこれがお勧めとは言い難いのですが、薄い生地で安いものは避けた方が無難です。

 

コットンはその繊維の細さや長さによって肌当たりや風合いの良さが変化します。厚手のものであれば、ある程度はごまかしがききますが薄手のものは如実に品質の差が出てしまいます。

 

参考として、ベーシックな薄手のコットンのカットソーを購入する場合は5000円を目安にするといいでしょう。それよりも下の価格帯のものはカタログや写真では綺麗に見えますが、年齢を重ねた肌や身体に合わせると本人までみすぼらしく見えてしまいます。

 

以前のコラムでもお話ししたように、年輪を重ねた肌は品質の差が顕著に出てしまいます。良いものはよりよく見えることが大人の女性の特権とも言えますので、忘れないようにしましょう。

 

 

 

化繊、または化繊が混紡されているものには要注意

 

 

 

ナイロンやポリエステルといった化学繊維は一昔前と比べると品質や着心地といった点で天然繊維を超えるものも近年出てきています。

 

プラダが使用しており一躍有名になったリモンタ社のナイロンなど滑り感のある美しい光沢はとても魅力的です。

 

 

 

リモンタ(LIMONTA):1893年にイタリア・ロンバルディア州レッコ県コスタ・マズナーガで創業したファブリックメーカー。プラダ以外にもエルメス、グッチ、フェリージなどの有名ブランドが使用する高密度ナイロンが有名。

 

 

 

 

高級なポリエステルを贅沢に使用したプリーツのドレスやスカートなど、化繊でしか表現できないデザインや色味を出せるのも醍醐味の一つです。

 

また、天然繊維に化学繊維を混紡することで強度が増したり、発色がよくなるなど決して悪いものではありません。

 

しかしながら、安価な製品にも使われてしまうのが化繊の難しいところ。

 

例えばアクリルのニットや、安価なポリエステル混のパンツなどは独特の光沢が安っぽさを助長させてしまいがちです。

 

こちらは金額で判断するのは難しいですが、安心できるブランドやセレクトショップで実際に手にとって見ることを強くお勧めします。(カタログやECサイトの安価なものは買わないで!)

 

 

 

白とグレーのTシャツ

逆に、お金をかけなくてもいいものとはどのようなものでしょうか?

 

 

 

お金をかけなくてもいいもの (嗜好品)

 

 

 

嗜好品といっていますが、オントレンドで街中で流行っているもの、またちょっとトライしてみたいもの、は安いもので十分です。

 

ボッテガべネタが使用する黄みがかったグリーンは、2023年の春夏でもショップでよく目にする色だと思います。

 

こういった、いわゆる流行色は新鮮に映ることに加えて今っぽさを演出するのに欠かせません。いつものアウトフィットに流行色のストールやバッグを足すことでトレンド感のあるお洒落を楽しむことができます。

 

しかしながら、こういった流行の色やアイテムは毎シーズン新しいものが登場してくるため、高価なものを買っても旬が過ぎればタンスの肥やしになってしまいます。

 

以下のような2023年に流行しているアイテムはHMZARAといったトレンド感を売りにしているファストファションを上手に利用しましょう。

 

 

 

クリアフレームやスクエアレンズなどYKを彷彿とさせるサングラス

フリンジのついたニットやカットソー

フューシャピンク、パープルのアイテム

サテン素材のブラウスやパンツ

メッシュや塩化ビニールのヌーディな足の指先が見える靴

 

 

 

上記は2023年に流行すると言われている、プレタによく登場したアイテムです。

 

元々好きな色や形のものがたまたま流行と重なっているのであれば、好きなブランドのクオリティの高いものを購入してももちろん大丈夫です。

 

しかし、「来年も着るかな?」と首をかしげるアイテムはファストファッションに頼ってしまいましょう。

 

一つだけ注意点があるとすれば、全身をファストファッションで固めないこと。ファストファッションで購入したものを取り入れる時は、全身のアウトフィットの1つに留めておくことで、安っぽく見えるのを上手くカバーすることができます。(サングラスだけH&Mを取り入れる、カットソーだけZARAのもの、のような感じです。)

 

 

 

ファッションとサステナビリティー

 

 

 

元来、洋服は消耗品であり、汚れたりくたびれてきたら買い直すものです。

 

僕は「お気に入りを大切にケアして長く着ること」がサステイナブルの一番の方法だと常々考えていますが、ベーシックな服だけではなく、その時々の瞬間に合わせて旬のアイテムを取り入れてみたり、ファッションは同時に楽しむものでもあるとも思っています。

 

流行に踊らされてはいけませんが、そのエッセンスを受容することができなくてはお洒落を楽しむこともできないと思うのです。

 

ファストファッションが世の中を席巻してから、私たちの洋服に対する意識は180度変化してきました。

 

トレンディな洋服が安価に簡単に買える時代になり、飽きたら捨ててまた買えばいいという風潮から、サステナブルの意識が高まり、品質が良くベーシックなものを少量だけ持つミニマリストが台頭してきました。

 

 

少ない数で着回せることはとても良いことです。

環境に負荷をかけないこともとても重要なことです。

でも、もう少しだけ旬のファッションを楽しんでもいいとも思うのです。

 

 

昨今では、メルカリのようなフリマアプリはもちろん古着の買取をするお店や、ファストファッションの店頭では着なくなった古着の回収を行っていたりもします。

 

あなたが着なくなった洋服は他の人がその後着用していたり、リサイクルされて新しい形になったりと循環されるシステムが構築され始めているのです。

 

私たちは常に学習しています。世の中と個人の楽しみや喜びのバランスを取ることが今の私たちはきっとできるはず、ではないでしょうか。

 

 

 

お金をかけるもの=大切にケアしながら長く着用したいもの

(消耗品)

お金をかけなくてもいいもの=今を楽しめる厳選した旬のアイテム

(嗜好品)

 

 

 

一見反対に見える消耗品と嗜好品の考え方を頭の片隅に置いておくことで、スマートな買い物をできる素敵な女性が増えたら嬉しい、そんな風に思う昨今です。

 

 

 


 

 

ジョニー・カワサキ
顧客のワードローブに魅力を高めるアイテムを足すことを得意としているファッションスタイリスト。20年以上におよぶ外資系アパレル勤務で培われた知識とセンスをもとにしたアドバイスには定評がある。

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